ISOWAホームへ English お問い合わせサイトマップ
製品情報 アフターサービス情報 段ボール機械入門 会社情報 中古機械情報 ニュース
ISOWAビトの物語
  株式会社ISOWA 代表取締役社長 磯輪英之 
  ご挨拶にかえて―



 2006年、当社は創業85周年を迎えました。私自身も入社してから20年と少しがたち、すでに会社の歴史の4分の1の部分に参画していることを思うと、改めて時間とは飛ぶが如く過ぎてゆくものだと感じずにはいられません。

 いまや当社の歴史をすべて知っているという人は少なくなり、代が替わることで、関係者の記憶も薄れてきているのが実際のところです。

 メーカーは製品作りを生業(なりわい)とし、もの作りこそ命題でしょう。しかし、それを作っているのは社員、人であるはずです。製品についてだけでなく、それを作り出している人についてもお客様にもっと知っていただきたい。それはお客様に当社をより身近に感じていただけることにも通じるのではないか──。こうして、人にスポットライトを当てた「ISOWAビトの物語」プロジェクトが産声を上げます。

 会社の歴史をひもとき、節目ふしめのエポックメイキングな製品群を開発してきた先人たちの軌跡を、できるだけ丹念に掘り起こしました。いま現在ISOWAがこの業界でビジネスができるのは、あるいは磯輪英之という個人が働くことができるのはすべて先輩たち──先達のお蔭であり、彼らの歩みをみなが共有することこそ、これから会社がさらに成長していくために必要な共通認識になると考えました。その歴史を実際に体験できなくとも、自分の部署の身近な人が取り上げられることで擬似体験や共通体験となり、ますますリアリティを持って社員の身に迫ってくることになるはずです。

 板紙・段ボール新聞の1面を飾った連載は、月に一度、1年間におよびました。2005年6月17日がそのスタートでした。毎回のオープニングに登場する「『会社に製品あり、製品の影に人あり、人に歴史あり──』は本当によい言葉ですね。本当にその通りですね」、「あのような歴史があることがISOWAさんの強みですね」……等々の感想を多く寄せていただきました。それを1冊の出版物にまとめ、このたびみなさまにお届けできたことをたいへん嬉しく思います。

 プロジェクトはその後第2部へと発展し、「続・ISOWAビトの物語」として ウェブサイト上 で公開しています。

 第1部ではプロのジャーナリストに取材を依頼しましたが、続編では新入社員に白羽の矢を立てました。二人ひと組でインタビューに行き何とか形にしてきましたが、丸っ切りの新人が大先輩に話を聞くわけです。おそらく手探りでやった部分もあったと思いますが、新人にとってはよい研修になったはず。かたや取材される側にとっては、自分の子供よりも年齢が若いインタビュアーがやってくるケースもあり、それは親切に、自分の体験を語ってくれました。

 いずれも、みな通常の業務の合間に時間をつくり参集するわけで、苦労も多かったでしょうが、会社の縦のつながりをつくるためのよい対話となったことでしょう。

 いろいろな部署の仕事の中身を知りながら、会社の歴史も知っていく。これは全社を挙げて意識変革を促すプロジェクトであり、想像以上に会社に蓄積される部分が多く、その意義ははかりしれません。

 自分と自分の愛する家族のために働く……。会社の仲間たちもそれぞれ、自分と自分の愛する家族のためにやはり働いている……。ひとりではできない大きなことをやり遂げるために会社はある……。そんなことをいつも社員に向けて話しています。

 「顧客満足」という言葉がありますが、お客様を喜ばせるのは結局は社員であり、社員が会社に対して満足していないのなら、お客様を満足させようという気にならないように思います。顧客満足の前に社員満足があって、はじめて顧客満足につながります。その意味で、社員が自社の知らなかった面に触れ「こんな歴史もあったのだ」と気付くことで、会社に愛情を持ったり、誇りを持ってくれれば、それが好循環を生むはずです。

 最終的に機械を作って世に送り出しているわけですが、作っているのは人であり、社員の気持ちを豊かに耕さずして「開発、開発」と号令をかけてもよいものにはなかなか結びつかないでしょう。会社の風土がよく耕され肥沃になれば、よい製品という形になって表れ、世の中に貢献できると信じています。

 段ボールに夢を吹き込み、段ボール(箱)を単なる包装資材から夢を伝えるメディアに変身させ、私たちが愛する段ボールの付加価値を高め、お客様である段ボール業界とともに「段ボールを通じて世界中に夢を提供」できる企業を目指す──これが当社のビジョンですが、これと 「世界一社風のよい会社を目指す」という経営理念とが、ぴたりと重なりひとつの事業の方向へと向かっていけるよう、これからも力を尽くしていく所存です。

2007年3月吉日(自宅にて)